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がん以外にも緩和ケアは可能?

終末期医療でがん患者に残された人生を豊かにする方法とは?

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終末期医療(ターミナルケア)を受ける場所の選択

終末期医療を受ける患者の人生をより豊かなものにするためには、まずどのような場所で終末期医療を受けるかを選択することが大切です。
基本的には、「療養型病院」「介護施設」「自宅」のいずれかで終末期医療を受ける形となるでしょう。それぞれの場所で受ける終末期医療の特徴、メリット・デメリットなどについて確認します。

療養型病院

療養型病院とは、緩和ケア病棟やホスピスなど、緩和ケアを専門的に行うことができる病棟を言います。
療養型病院を利用できる患者は、がん患者か後天性免疫不全症候群(エイズ)患者のうち、診療として緩和ケアを受ける予定の方のみ。
他の病気の患者さんや、緩和ケアを受けずに看取りのみを前提とする患者さんは、基本的に入院はできません。

療養型病院のメリット・デメリット

医師や看護師が施設内に常駐しているため、患者さんの容体が急変しても迅速に対応してもらえる点が大きなメリットの1つ。
自宅での療養とは異なり、家族にはほとんど身体的な負担がかからない点も、療養型病院のメリットと言えるでしょう。

一方で、患者さんとそのご家族との面会時間が限られていることから、自宅療養に比べると、患者さんの孤独感や不安感が大きくなってしまう点がデメリット。
また、そもそも十分な施設数がないため、入院したくてもできないことがある点も、療養型病院のデメリットと言えます。

介護施設

平成18年、および平成27年の介護報酬改定により、有料老人ホームや介護老人保健施設、特別養護老人ホームなどの高齢者向け施設においても、緩和ケアや看取り介護が盛んに行われるようになってきました。

看取り介護加算の対象にならない施設でも、実質的には看取り介護が行われていますが、実際は医療体制等が基準を満たしていない可能性もあります。
そのため、緩和ケアや看取りを目的に介護施設を選ぶ際には、基準をクリアした施設を選ぶようおすすめします。

介護施設のメリット・デメリット

介護のプロが常駐しているため、自宅療養に比べると床ずれ(褥瘡)予防や排泄、着替え、移動など、日常生活の様々な面がスムーズに行われることがメリット。
また、病棟に比べるとスタッフとのコミュニケーションが多いため、患者さんが孤独感を感じにくいこともメリットとなるでしょう。
もちろん、ご家族の介護負担が軽減することも大きなメリットです。

一方で、家族との面会時間が限られている点や自宅より自由度が効かない点は、患者さんにとってデメリットに感じられるでしょう。
また、入居期間が長引くことで費用の問題が懸念されることは、ご家族にとっての現実的な悩みになるかもしれません。

自宅

中には「家族には迷惑をかけたくない」という思いから、病棟や介護施設の利用を望む患者さんも少なくありませんが、多くの患者さんの本音には、住み慣れた自宅で最期を迎えたいという気持ちがあるでしょう。

ご家族の理解があれば、自宅でターミナルケアを受けることも十分に可能です。
患者さん本人とご家族の希望が一致したならば、ぜひ自宅での療養も検討してみてください。

自宅のメリット・デメリット

残された時間を家族とともに過ごせることが、自宅療養の何よりのメリットです。
住み慣れた我が家なので、病院や介護施設のように気を遣う必要もありません。
患者さんは、最期までリラックスして毎日を過ごしていけることでしょう。
また、ご家族にとっても、病院や介護施設に入れることによる不安や罪悪感がないこと、最期まで大事な家族と一緒に過ごせることは、非常に大きなメリットになるのではないでしょうか。

一方で、床ずれ(褥瘡)ケアやトイレ・食事の介助など、介護をするご家族の負担が大きくなることは避けられないデメリット。
中には、介護のために仕事に影響が出てしまう方がいるかもしれません。
患者さんの容体が急変した場合、もちろん救急車を呼ぶことはできますが、病棟のように医師や看護師がすぐに診てくれるわけではない点も、自宅療養のデメリットになるでしょう。

【参考1】どの場所で療養しても痛みのコントロールは行ってもらえる

がんが進行すると、患者さんによっては強い痛みを感じる場合があります。
しかし、薬物を使用した痛みのコントロールは、病棟や介護施設、自宅でも問題なく対応しているのでその点は安心してください。

なお、痛みの程度により医療用麻薬(コデインやモルヒネなど)を投与することもありますが、医療用麻薬の使用によって中毒や依存症に発展することはありません。

【参考2】病院で亡くなる方が圧倒的に多い

厚生労働省の資料によると、病院・介護施設・自宅のうち、患者さんが最も多く亡くなる場所は病院です(がんに限らない)。
令和2年の統計では、日本における死亡者のうち約68.3%が病院で亡くなっています。

参考までに、同じ資料によると、介護施設(介護医療院・介護老人保健施設を含まず)で亡くなっている方は全体の3.3%、自宅で亡くなっている方は15.7%となっています。

終末期医療(ターミナルケア)の内容

終末期医療で提供するケアには、主に「身体的ケア」「精神的ケア」「社会的ケア」の3種類があります。
それぞれの概要を見てみましょう。

身体的ケア

身体に感じる痛みのコントロール(鎮静剤投与など)の他、一般的な介護と同様、食事・入浴・排泄・着替えなどのサポートをします。
口から食事を摂ることが難しい患者さんについては、経管栄養や点滴などで栄養を補給することもあります。

精神的ケア

少しでも穏やかな気持ちで過ごしていけるよう、ベッド周りにお気に入りのものを置くなど、患者さん本人の希望に合わせた環境を作ります。
家族や友人などと一緒に過ごす時間を、少しでも多く設けることも大切です。
患者さんに「最期まで一人ではない」と感じてもらうことが重要です。

社会的ケア

医療ソーシャルワーカーに相談して医療費の負担を減らすための助言をもらったり、専門家や専門業者のサポートを借りて遺産相続や遺品整理などを進めたりなど、社会的な面から患者さんの様々なケアを提供します。

終末期医療(ターミナルケア)に似た意味を持つケア

終末期医療(ターミナルケア)に似た意味を持つ主なケアをご紹介します。
がん患者の方に向けたケアという視点から見れば、それぞれのケアは一部重複しているなど、全く別々のケアというわけではありません。

ホスピスケア

治癒が望めない終末期の患者さん、およびそのご家族に対し、不安や苦痛を最小限にするための様々なケアを行います。
緩和ケア病棟とホスピスは、厳密には異なるものの、実際に提供しているケアの多くは重複しています。

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緩和ケア

がんに伴う心身の苦痛を緩和できるよう、主に医療的な視点からケアを行います。
終末期の患者さんだけではなく、がんと診断されたばかりの患者さんから緩和ケアの対象となります。

かみ出し食

嚥下機能が非常に低下しているものの、少量の水分程度であれば飲み込むこともできる患者さんに対しては、噛んでから吐き出す「かみ出し食」を提供することがあります。
飲み込まず、口の中で味や食感だけを楽しむための食事です。

なお緩和ケアは特定の医師や看護師などから単独で提供されるものではなく、薬剤師やソーシャルワーカー、心理専門職、理学療法士、作業療法士、管理栄養士などを含む緩和ケアチームから提供される形となります。

終末期医療の費用について

終末期医療を受けるにあたり、患者さん本人もそのご家族も、費用に関する不安を抱くことがあるかもしれません。

基本的に、終末期医療の医療費は現行の医療保険制度に準じます。

例えば後期高齢者医療制度においては、現役並みの所得がある方を除き、75歳以上であれば窓口負担が1割です(2022年10月から2割)。
また、高額療養費制度も用意されているため、原則として70歳以上の方における医療費の自己負担額は、1ヶ月57,600円が上限となります。

現役並みの所得のある方については、上限額が上がりますが、逆に低所得者については上限額が下がるため、終末期医療で何百万円、何千万円も自己負担をするということはありません。

遺族のために残しておきたいもの

自身の最期が近づいてきた時、または最期を迎えた後、ご家族が様々な意思決定や事後対応をスムーズに行えるよう、患者さんは次のようなものを残しておくことが理想です。

リビング・ウィル

自分で自分の意思を伝えられなくなった時に備え、自分の終末期に関する様々な希望を残しておくことがリビング・ウィル。
「治癒の見通しがない状態になったら延命措置は不要」「がんの痛みを取り除く緩和ケアは行ってほしい」など、自らの最期に向けた様々な希望をしたためておきます。

病気の有無や程度に関わらず、誰しもがリビング・ウィルを残す対象となります。

ACP

がんや認知症、事故などで自分の意思を伝えられなくなった時に備え、常日頃から家族や医療関係者と自分の最期の希望を話し合い、共有しておく仕組みのこと。
リビング・ウィルの内容を、最後までアップデートさせ続けるようなイメージです。

エンディングノート

エンディングノートとは、自分が最期を迎える前後に向け、あらゆる意思や思い、手続きなどを書き残しておくノートのこと。
家族への思いや感謝、終末期に希望するケア、臓器提供の希望の有無、死後に廃棄して構わないもの、財産分与、金融資産の内容(銀行や証券会社など)、死亡保険金、借金の状況など、家族に伝えておくべきことをくまなく書き記しておきます。

尊厳死と安楽死について

終末期医療に関連し、尊厳死と安楽死の違いについて確認しておきましょう。

尊厳死

尊厳死とは、病気を治すための積極的な治療をせず、病気の苦痛を和らげるケアを受けながら限りなく自然死に近い状態で迎える死のこと。
「死期が近い」「本人が尊厳死を希望している」「家族が尊厳死に同意している」など、一定の条件を満たしている患者には尊厳死が認められています。

安楽死

安楽死とは、患者さん本人の希望に応じる形で、主治医が薬物を使って患者さんを死亡させること。
患者さんの強い思いが前提となる死ではありますが、日本の現行法では、安楽死は「他人を人為的に死にいたらしめる行為」として主治医が罪に問われます。

法的な解釈だけではなく、財団法人日本尊厳死協会においても「尊厳死が認められれば安楽死の必要がない」との立場から、安楽死を否定しています。

【参考】看取り介護加算(終末期加算)について

終末期医療(ターミナルケア)に対応している介護施設では、一定の基準を満たすことで「看取り介護加算(終末期加算)」が算定されます。
終末期医療(ターミナルケア)が必要であるとの判断を医師が下し、かつ家族もそれに同意した場合、患者さん本人の死亡日を基準に所定の単位が加算される制度です。

介護施設で看取りを行う場合、経験のある専門スタッフが集中的にケアを行う形となりますが、それに伴う介護施設の負担を軽減させるため、看取り介護加算(終末期加算)の制度が創設されました。

利用者の負担額に代わりはありませんが、終末期に向けた介護施設を選ぶ際、この制度が該当する施設であるかどうかを1つの基準にすれば、より手厚いケアが期待できるかもしれません。

私たちクリニックC4は『がんをあきらめない』