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緩和ケアで延命治療と違うアプローチで終末期に向き合うには?

緩和ケアで延命治療と違うアプローチで終末期に向き合うには?

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がんの終末期における患者の選択肢として、延命治療・ターミナルケア・緩和ケアなどがあります。
近年では、がんと診断された直後から、余命や治癒可能性にかかわらず緩和ケアを選択する患者が一般的に見られるようになってきました。

ここでは、延命治療やターミナルケアと緩和ケアとの違い、緩和ケアを受けられる場所、緩和ケアの内容や費用などについて詳しく解説します。

延命治療緩・ターミナルケア・緩和ケアの違い

終末期を含めたがん患者への医療的アプローチとして、「延命治療」「ターミナルケア」「緩和ケア」という3つの言葉を耳にすることがあります。

直感的には似たような意味を持つ言葉のようにも感じますが、これら3つのアプローチは、医療的にはまったく違うものです。
それぞれの違いを明確に理解しておきましょう。

延命治療とは

延命治療とは、老化や病気により生命の維持が難しくなった患者に対し、医療的措置によって一時的に生命をつなぐ行為を言います。

延命治療の主な方法は、「人工呼吸」「人工栄養」「人工透析」の3種類。
自発呼吸が不能な状態に対して「人工呼吸」を施し、口からの食事が不能な状態に対して点滴や胃ろうで「人工栄養」を施し、腎機能不全で体内の老廃物を輩出できない状態に対して「人工透析」を施します。

少しでも長生きしてほしいという家族の願いは実現するものの、様々な問題が指摘されています。
例えば、本人の意思が確認できないままでの延命措置が多いことや、かえって本人に苦痛を与えてしまう可能性があること、延命措置を中止した場合には犯罪に問われる可能性があることなどです。

将来的に延命治療を受ける可能性がある患者は、本人の意思を確認できるうちに、本人からリビングウィルを取得しておくことや、本人に代わって意思決定できるAD(アドバンスディレクティブ)を設定しておくことなどが必要でしょう。

ターミナルケアとは

ターミナルケアとは、病気などで余命が短いと判断された患者に対し、残りの時間を患者が自分らしく過ごしていけるよう、医療・看護・介護などの多面的なアプローチでケアすることを言います。

ターミナルケアの主な内容は、「身体的ケア」「精神的ケア」「社会的ケア」の3種類。

- 身体的ケア:痛みの緩和や食事・入浴・排泄の介助など
- 精神的ケア:死への不安や残された家族への心配など、心の問題の緩和を図る
- 社会的ケア:医療費などの経済的不安や社会的な孤立感などに対するケア

医療技術的には延命措置への移行が可能ですが、延命治療を望まないからこそターミナルケアを選択したという患者は少なくありません。

緩和ケアとは

緩和ケアとは、がん、または後天性免疫不全症候群(AIDS)と診断された患者(以後「がん患者等」)が、余命の長さにかかわらず受けることができる総合的なケアを言います。
余命の長さにかかわらない以上、終末期にある患者はもちろんのこと、治癒の可能性がある患者でも緩和ケアを受けることができます。

緩和ケアの目的は、がん患者等の身体的苦痛・精神的苦痛・社会的不安などを緩和させることなので、その点ではターミナルケアと重複する部分もあります。
ただし、以下のような点において、緩和ケアとは区別されます。

- あくまでもターミナルケアは終末期の患者にのみ行われるケアであること
- がん患者等とは異なる患者にも行われることがあること(特別養護老人ホームでも行われる) など

一般的にがん治療は「標準的ケア」によって進められます。
しかしアメリカでの研究報告によると、「標準的ケア」とあわせて早期から定期的に「緩和ケア」を受けることで、患者本人の精神状態が良好に保たれる・生存期間が延長されるといった傾向があるとされています。

もちろん、この研究により、緩和ケアが「必ず精神状態を良くする」「必ず生存期間を延ばす」ことが証明されたわけではありませんが、1つの参考として心に留めておいて良いかもしれません。

緩和ケアを受けられる場所

緩和ケアは病院か自宅で受けることが可能で、病院の場合は通院と入院の2つの方法で受けることができます。

以下では、緩和ケアを受けられる場所として「通院」「入院」「自宅」の3つに分け、それぞれの特徴を解説します。

通院

がん治療で通院している病院、または緩和ケア外来を設置している病院で緩和ケアを受けることができます。
がん治療の入院中に緩和ケアを受けていた患者については、退院後、同じ病院の緩和ケア外来に通院する例も多く見られます。

入院

がん治療のために入院している患者は、入院中の一般病棟で緩和ケアを受けることができます。
また、一般病棟から緩和ケア病棟・ホスピスなどに転院して、引き続き緩和ケアを受けることもできます。

なお、緩和ケア病棟とホスピスは、国が定めた同じ緩和ケア基準をクリアした医療機関であり、提供されるケアの内容もほとんど変わりません。 名称は異なるものの、緩和ケア病棟とホスピスは、おおむね同じ医療施設と考えて良いでしょう。

自宅

患者や家族が希望すれば、在宅療養支援診療所の医療サービスを利用する形で、自宅で緩和ケアを受けることも可能です。

緩和ケア病棟などに比べて対応スピードなどの点では劣るものの、24時間365日体制で対応していることや緩和ケア病棟とほぼ同じケアを受けられます。
上記などを理由に、在宅での緩和ケアを望む患者は少なくありません。

緩和ケアにかかる費用

緩和ケアにかかる費用について、緩和ケア病棟の場合と在宅緩和ケアの場合との概算を見てみましょう。

緩和ケア病棟でかかる費用

厚生労働省が承認した緩和ケア病棟であれば、全国どこでも入院料は一定となっています。

ただし、緩和ケア病棟が「入院料1」に指定されている施設か、または「入院料2」に指定されている施設かにより料金が変わります。
また、患者の入院日数によっても料金が異なります。

例えば、「入院料1」に指定されている施設で30日以内の入院の場合、1日の料金は51,070円(令和4年)。健康保険で3割負担の場合、1日あたりの入院費は15,321円となります。

これらの費用には高額医療費制度を利用できます。
例えば「70歳以上で年収156~約370万円」の患者の場合、1か月にかかった医療費のうち57,600円を超える部分については、所定の手続きによって後日返金されます。

入院料に加えて薬代や食事代、診察費、治療費などもかかる他、個室等を利用する場合には差額ベッド代もかかる点にご注意ください。

在宅緩和ケアでかかる費用

緩和ケア病棟とは異なり入院しないため入院料はかからず、ケア内容や訪問回数などに応じて費用が決定します。

在宅緩和ケアにも健康保険が適用されますが、例えば3割負担で週1回の訪問の場合、薬代や診察料などを含めて約15,000円程度の費用がかかるでしょう。
在宅緩和ケアにも高額医療費制度が適用となるため、年齢や年収等の条件に応じて負担する医療費の上限が設定されています。

上限を超えた場合には、所定の手続きをすることで、超過分が返金される流れとなります。

基本的緩和ケアと専門的緩和ケアの違い

緩和ケアを大きく分けると、「基本的緩和ケア」と「専門的緩和ケア」の2種類があります。

基本的緩和ケアとは、手術や抗がん剤治療、放射線治療など、がん治療に携わるすべての医療従事者が行っている一般的な緩和ケアを言います。
がん治療に関わる医師は、全員が2日間の「緩和ケア研修」に参加し、基本的緩和ケアの技術を習得することとなっています。

専門的緩和ケアとは、主治医や担当看護師などでは対応できない専門的な緩和ケアを言います。
特別なトレーニングを受けた医療従事者が行う緩和ケアで、緩和ケア病棟と在宅、どちらでも受けることが可能です。

緩和ケアの主な内容

緩和ケアの主な内容、および近年注目されている音楽療法についてご紹介します。

身体的苦痛の緩和

がんの疼痛や呼吸困難など、患者の身体的苦痛に応じて適切な投薬や医療的措置を行います。

なお、疼痛緩和において「医療用麻薬」を使用することがありますが、「医療用麻薬」による中毒性や依存性のリスクはありません。

精神的苦痛の緩和

病気の進行に対する不安、混乱、不眠、抑うつなどの精神症状に対し、精神科医などの専門家がカウンセリングや投薬をします。

社会的不安の緩和

医療費等の経済的不安などに対し、ソーシャルワーカーが中心となって適切な対処法をアドバイスします。

在宅介護の支援

在宅緩和ケアを受ける患者に対し、ケアマネージャーなどが中心となり、在宅介護の包括的な計画立案や各種ケアの手配を行います。

家族ケア・悲嘆ケア

終末期の患者と家族とが穏やかに過ごしていけるよう、医師や臨床心理士などが家族全員に心のケアを行います。
患者が亡くなった際には、悲嘆する家族に対して適切な精神的ケアを行います。

【参考】音楽療法によるケア

音楽が人のメンタルに与える影響を活用し、緩和ケアにおいて音楽療法が行われている施設もあります。

音楽療法の目的は、患者の不安や焦りの気持ちを少しでもリラックスさせたり、病室の不快な音をシャットアウトしたりすること。
単に「患者が好きなジャンルの音楽」を提供することは家族でもできますが、学術的な視点から患者が本当に求める音楽を提供することは、専門的な知識を持つ音楽療法士にしかできません。

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