がん末期でお悩みならクリニックC4。末期がん、多発転移でもクリニックC4のトモセラピーなら治療の可能性があります。
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肝臓は「沈黙の臓器」とも言われるほど、症状が出にくいがんのひとつです。
本記事では、ステージ4の肝臓がん(肝細胞がん)について、症状やステージの基準、生存率、主な治療方法までを取り上げます。
肝臓は、体の中でもかなり大きな臓器で、重さは1~1.5kgくらいあります。
人間の体で「一番大きい内臓」と言っても良いほど存在感がある臓器です。
肝臓の位置としては、お腹の右上、肋骨の内側にあります。
実際には外から見えませんが、「みぞおちの右側~お腹の右上」に手を当てると、その奥に肝臓があるイメージです。
肝臓の役割は、大きく分けて3つあります。
・運ばれてきた血液から栄養を代謝して、体が必要とする成分へと変える
・代謝の途中にできた有害な物質や、アルコールなどを解毒して体外に出す
・脂肪の消化をサポートする胆汁(たんじゅう)をつくる
このように、体にとって重要な機能を担っているのが肝臓です。
肝臓がんは、文字通り肝臓に発生するがんの総称です。
肝臓に発生するがんには2種類あります。
・肝細胞がん:肝臓を構成する「肝細胞」ががん化したもの
・肝内胆管がん:肝臓内の胆管(たんかん)という部分ががん化したもの
肝細胞がんと肝内胆管がんは、治療方法が違うため区別されています。
日本での肝臓がんのほとんどは「肝細胞がん」で、こちらを本記事でも取り扱います。
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれるほど、初期にはほとんど症状が出ないという特徴があります。
そのため、自覚症状がないまま進んでしまうことも多く、定期検診で異常を発見するケースも少なくありません。
肝細胞がんの発症の背景としては、
・B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)の感染
・アルコール性肝障害
・非アルコール性脂肪肝炎
などの慢性的な炎症や肝硬変などがあるとされています。
ステージ4では、肝臓の機能が著しく低下することで以下のような症状が現れます。
・腹水とむくみ
肝機能の低下により、腹部に液体がたまり(腹水)、足や顔などにむくみが生じる
・黄疸
皮膚や白目が黄色くなる症状で、肝臓がビリルビンを処理できなくなることが原因
・倦怠感と体重減少
食欲不振やエネルギー代謝の低下により、強い疲労感や体重減少が見られる
・肝性脳症
肝臓の解毒機能が低下し、アンモニアなどの有害物質が脳に影響を及ぼすことで、意識障害や手の震えなどが現れる
・痛み
がんの進行により、腹部や背中、骨への転移による痛みが生じることがある
・消化器症状
がんが消化管に影響を及ぼすことで、腹痛や下痢、吐き気、嘔吐などの症状が現れる
肝細胞がんのステージは、以下の要素によって決められます。
・がんの個数
・がんの大きさ
・がんが肝臓の中にとどまっているか
・肝臓以外の臓器に転移しているか
・がんが肝臓内の脈管(門脈、静脈、胆管)に広がっているか
上記を踏まえた上で、肝臓がんのステージIVは、IVAとIVBの2つに分かれます。
■IVA(以下いずれか)
・がんが1つではなく、その大きさが2cmを越えていて、脈管にまで広がっている
・リンパ節への転移がある
■IVB
・遠隔転移がある
ステージ4の特徴は、がんの個数や大きさ、リンパ節への転移などを問わず、「遠隔転移が確認された」段階で「IVB」と判断される点です。
なお、こちらの分類は日本の「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約(日本肝癌研究会編)」に基づきます。
生存率とは、ある病気と診断された人が、5年や10年といった特定の期間を生きて過ごしている割合です。
がんにおいては「5年生存率」がよく使われ、診断から5年後にどれくらいの人が生存しているかを表します。
肝臓がんのステージ4における生存率は、以下のような数値になっています。
■実測生存率:4.2%
■ネット・サバイバル:4.8%
※実測生存率:がんと診断された人のうち、一定期間生存している人の割合(がん以外の死亡も含む)
※ネット・サバイバル:がん以外の死亡要因を除いた生存割合
※診断年と生存率:2015年5年生存率
※出典:国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」
緩和ケアは、入院中や通院をしながら、または在宅でも分けられます。
肝臓がんの治療は、標準治療を基本として本人の希望や体の状態などを考慮して検討されます。
肝臓がんになった患者さんの多くはがんの他に「慢性肝疾患」を抱えています。
そのため、治療の始めには肝臓の機能を「Child-Pugh分類」を用いて調べます。
■Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類
・A:5~6点(肝機能が良好で治療選択肢が広い)
・B:7~9点(肝機能は中等度、治療は慎重に選ぶ)
・C:10~15点(重度の肝機能低下状態で、積極的治療ではなく移植や緩和ケアが検討される)
この分類を踏まえた上で、ステージ4の治療は以下のように分かれます。
肝切除または薬物療法の治療は、以下の場合に検討されます。
・Child-Pugh分類:AまたはB
・肝臓以外の臓器への転移:なし
・脈管への広がり:あり
この治療では、基本的に肝切除が優先的に検討されます。
その次に薬物療法が候補に上がりますが、Child-Pugh分類がA判定の場合に限ります。
肝切除とは、がんとその周囲の組織を手術で取り除く方法です。
手術の前には、「肝障害度」による評価が推奨されています。
肝障害度はA、B、Cの3段階に分けられます(Aが最も肝機能が残っている)。
Child-Pugh分類に加えて肝障害度も調べる理由は、肝臓の手術は、肝機能がしっかり残っている人(=肝障害度A)にしかできないことが多いためです。
肝障害度がBやCに近づくほど、手術によるリスクが高くなったり、手術自体ができなくなるケースが増えます。
もうひとつの治療法である薬物療法については、次で詳しく説明します。
薬物療法の治療は、以下の場合に検討されます。
・Child-Pugh分類:A
・肝臓以外の臓器への転移:あり
肝細胞がんの薬物療法は、「分子標的薬」や「免疫チェックポイント阻害薬」といった薬を用いた治療が標準治療として採用されています。
これらは、手術(肝切除)や肝移植、局所的な治療ができない進行したケースで検討されます。
薬物療法を始めるには、全身の状態(パフォーマンスステータス)が良いこと、そして肝臓の機能がしっかり残っている(Child-Pugh分類A)ことが条件になっています。
体力や肝機能がある程度保たれていないと、副作用が強く出たり、治療に耐えられないためです。
薬物療法では、吐き気や食欲不振、肝機能障害などの副作用がみられることがあるので、治療中は体調の変化にも注意が必要です。
肝移植の治療は、以下の場合に検討されます。
・Child-Pugh分類:C
・肝移植の可否:可能(ミラノ基準内または5-5-500基準内)
肝移植は、患者さんの肝臓を取り出し、ドナー(臓器提供者)から新しい肝臓を移植する治療法です。
日本では家族などの近い方から肝臓の一部を提供してもらう「生体肝移植」が多く行われていますが、最近は脳死ドナーから肝臓を受け取る「脳死肝移植」も増えてきています。
移植を受けられるかどうかは「がんがどこまで進んでいるか」「がんの大きさや数」「腫瘍マーカーの値」といったいくつかの条件をクリアしている必要があり、主治医とよく話し合って検討されます。
緩和ケアは、以下の場合に検討されます。
・Child-Pugh分類:C
・肝移植の可否:移植不能
緩和ケアとは、がんのような生命を脅かす病気に直面している人と、その家族の「生活の質(QOL)」を高めるためのケアです。
緩和ケアの目的は、大きく分けて2つあります。
1つ目は、患者と家族の苦痛を和らげて、できるだけ穏やかに、自分らしく過ごせるように支えること。
2つ目は、QOL(生活の質)を高めること。
これは、身体的な痛みだけでなく、心の不安や家族の悩みまで含めてトータルで支える、という考え方に基づいています。
緩和ケアは、がんと診断されたらすぐに受けることができます。
昔は「治療が終わったあと」と思われがちでしたが、今は「治療と並行して、最初から受ける」のがスタンダード。
診断直後のショックや、初期から感じる身体のつらさに対しても、早い段階でケアを始めることで、苦痛を軽減できるという考え方が広がっています。
緩和ケアは「チーム医療」で行われています。
中心になるのは主治医や看護師ですが、さらに
・薬の調整を行う薬剤師
・不安に寄り添う心理士やソーシャルワーカー
・家族ケアを担う専門スタッフ
といったように専門職が連携して支える「緩和ケアチーム」が組まれています。
受けられる場所も多様で、病院の外来・入院病棟・緩和ケア病棟(ホスピス)・自宅での訪問ケアなど、本人の希望や状態に合わせて選べるようになっています。
緩和ケアで大切にされているのは、「辛い」「苦しい」という気持ちを我慢しないこと。
患者さんやそのご家族、親しい方の心に寄り添ってケアが行われます。
・肝臓がんの多くは「肝細胞がん」。進行しても初期症状が出にくい特徴があります
・ステージ4では「IVA(脈管・リンパ節転移あり)」と「IVB(遠隔転移あり)」に分類されます
・主な症状は、腹水・むくみ・黄疸・倦怠感・肝性脳症・痛みなど
・5年生存率は約4%と厳しいが、治療やケアの選択肢があります
・治療法は「肝切除」「薬物療法」「肝移植」「緩和ケア」などで、肝機能の状態で方針が変わります
・緩和ケアは「終末期のケア」ではなく、診断直後から受けられるサポートです
・治療だけでなく、QOLや本人の意志を重視したケアも大切な選択肢のひとつ
私たちクリニックC4は『がんをあきらめない』