がん末期でお悩みならクリニックC4。末期がん、多発転移でもクリニックC4のトモセラピーなら治療の可能性があります。
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食道がんは、初期に自覚しづらいがんの一つです。
とくにステージ4になると、がんが食道の壁を越え、遠隔臓器へ転移しているケースも少なくありません。
飲み込みにくさや痛みだけでなく、心身への負担が大きくなるこの段階では、治療とともに生活の質を保つ緩和ケアが重要な役割を担います。
この記事では、ステージ4食道がんの定義や症状、治療や緩和ケアについてまとめました。
食道は、咽頭(のど)と胃をつなぐ管状の臓器です。
体のほぼ真ん中を通っていて、食道の周りには気管や心臓、大動脈、肺など重要な臓器が集まっています。
食道の役割はシンプルで、食べ物を口から胃へ送り込むこと。
消化は行わず、いわば食べ物の「通り道」に徹しているのが特徴です。
食道がんは、食道の粘膜の表面にある細胞が、何らかのきっかけでがん化することで始まります。
発生場所は食道のどこであってもおかしくありませんが、多くは真ん中あたり(胸部食道)にできます。
初期の段階では、がんは粘膜の中にとどまっていますが、進行すると食道を越えて、周囲の臓器にまで広がることがあります。この現象が浸潤(しんじゅん)です。
また、リンパや血液の流れに乗って、リンパ節や肺、肝臓などへ転移するケースもあります。
こうして広がったがんが、他の臓器にまで影響を及ぼしている状態を「ステージ4」と呼びます。
食道がんは、初期の自覚症状が現れにくいがんです。
そのため、明確なサインが現れたときにはすでに症状が進行していることもあります。
ステージ4では、がんが大きくなったり周辺組織にまで広がったりすることで、以下のような症状が現れやすくなります。
・食べ物が飲み込みづらくなる
・水分すらつかえる感覚がある
・胸や背中にズキズキするような痛みを感じる
・咳が長く続く
・呼吸がしづらい
・声がかすれて出しにくくなる
・体重が減少する
人によって症状の出方は違いますが、こうした症状が重なって食事や会話、呼吸といった基本的な行動にまで影響が及ぶこともあります。
食道がんのステージ4は、「壁深達度(がんが食道壁をどこまで突き抜けたか)」と「転移」の進行の掛け合わせによって、ⅣAとⅣBに分かれます。
【ステージⅣA】
・がんの深さ:肺・大動脈・気管などの隣接臓器に達している
・リンパ節転移:近く・遠くを含めて数は問わない
・遠隔転移:臓器への転移はなし(ただし手術で取れる範囲の遠隔リンパ節転移は含まれる)
【ステージⅣB】
・がんの深さ:浅くても深くてもすべて該当
・リンパ節転移:ゼロから多発まですべて該当
・遠隔転移:あり(離れた臓器または切除困難な遠隔リンパ節)
ステージⅣAは、がんが食道の外にまで伸びて、すぐ隣にある肺や気管、大動脈といった重要な臓器に食い込んでいる状態です。
近くのリンパ節にどれだけ転移しているかはこの段階では決定打にならず、「隣の臓器に直接かぶさっているかどうか」がポイントになります。
ステージⅣBは、がんが食道周辺を飛び越えて、肺や肝臓など離れた臓器、あるいは手術で取りきれない遠くのリンパ節にまで広がってしまった状態です。
この段階まで来ると、もはや元の場所の大きさや深さは問題ではなく、「遠くまで転移した」という事実が病期を決めます。
生存率とは、ある病気と診断された人が、5年や10年といった特定の期間を生きて過ごしている割合です。
がんにおいては「5年生存率」がよく使われ、診断から5年後にどれくらいの人が生存しているかを表します。
食道がんのステージ4における生存率は、以下のような数値になっています。
■実測生存率:8.9%
■ネット・サバイバル:9.7%
※実測生存率:がんと診断された人のうち、一定期間生存している人の割合(がん以外の死亡も含む)
※ネット・サバイバル:がん以外の死亡要因を除いた生存割合
※診断年と生存率:2015年5年生存率
※出典:国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」
食道がんにおけるステージ4の治療は、ⅣAとⅣBで目指すゴールと主役になる治療が異なります。
ステージⅣAでは、抗がん剤と放射線を同時に当てる化学放射線療法が標準です。
体力が保たれている場合は、抗がん剤と放射線を同時に行う「化学放射線療法」がまず勧められます。
治療がうまく効いてがんが消えていれば、その後は抗がん剤を少量続けたり、経過観察だけで済むこともあります。
もし残ってしまったときは、残った部分を切除する手術や追加の抗がん剤・放射線を組み合わせて対処します。
高齢だったり持病があって治療の負担が大きい場合には、放射線だけで症状(痛みや飲み込みにくさ)を和らげる方法を選ぶこともあります。
がんが遠くまで転移しているステージⅣBでは、主に化学療法が選択されます。
治療の中心は全身に作用する抗がん剤で、免疫チェックポイント阻害薬と従来の抗がん剤を組み合わせる方法が推奨されています。
体力が十分で、食べ物がそれほど詰まらずに通るようなら、そのまま抗がん剤治療を始めます。
一方、がんで通り道が細くなり食事が取りづらいときは、放射線を先に当てて通過を確保してから抗がん剤に進む流れを取ることもあります。
また、体力や臓器の機能が落ちている場合は、延命よりも痛みや飲み込みにくさを軽くする緩和ケアが優先されます。
ステントで通り道を広げたり、栄養管理や痛み止めを組み合わせて、できるだけ生活の質を保つことが治療の目標になります。
ステージ4の食道がんでは、完治を目指す治療が難しいケースも多くなります。
そんなときに大切になるのが、体や心のつらさをやわらげて、できるだけ穏やかに日常を過ごすこと。
それを支えるのが「緩和ケア」です。
「水分すら飲み込みにくい」「背中にズキズキした痛みがある」「咳や呼吸がつらい」といった体の症状、そして、不安や孤独感といった心の痛みにも寄り添い、生活の質(QOL)を保つことが目的です。
進行した食道がんでは、胸や背中だけでなく、リンパ節や骨への転移によって全身に痛みが出ることもあります。
そうした痛みに対しては、がん専門の痛み止め(鎮痛薬)を使いながら、必要に応じて緩和目的の放射線治療なども行われます。
痛みを我慢せず、「つらい」と感じたら早めに医療者に伝えることがとても大切です。
がんが進行して食道が狭くなると、食事や水分が通りにくくなります。
このような場合に使われるのが「食道ステント」と呼ばれる医療器具です。
金属製のチューブをがんで狭くなった食道に広げて入れることで、食べ物や水分の通過を助けます。
ただし、痛みや出血、まれに食道に穴があく(穿孔)といったリスクもあるため、慎重な判断と説明が必要です。
そのため、医療チームとしっかり相談しながら進めることが大切です。
食道ステント以外にも、がんによる通過障害に対しては以下のような選択肢があります。
・放射線治療や化学放射線療法で食道を少しでも広げる
・食道バイパス手術で、別の通り道をつくる
・胃瘻(いろう)や腸瘻(ちょうろう)をつくり、チューブで栄養を確保する
また、がんが気管にまで及ぶと、呼吸がしづらくなったり、気管と食道に穴が開く「食道気管瘻(しょくどうきかんろう)」という状態になることがあります。
この場合は誤嚥や肺炎のリスクが高いため、気管用のステントを使って呼吸や食事をサポートします。
食道がんの終末期には、呼吸困難や出血といった急な症状が出ることもあります。
そんなときも慌てずに対応できるよう、本人と家族への説明や話し合いがとても大切です。
緩和ケアは、治療をあきらめるのではなく、「残された時間を、自分らしく生きるための医療」です。
医師や看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなど医療チームが連携し合いながら、心と体を支えます。
食道がんは食べ物の通り道である食道の粘膜細胞ががん化する病気です。
進行すると周囲の臓器やリンパ節、さらには遠隔臓器へ転移します。
食道がんのステージ4は「隣の臓器まで広がったⅣA」と「遠くへ転移したⅣB」に分かれます。
ⅣAでは化学放射線療法で局所を抑え、ⅣBでは全身化学療法と緩和ケアで生活の質を守りながら進行を遅らせるのが基本です。
どちらの段階でも共通するのは、痛みや嚥下障害、不安といったストレスに対して緩和ケアを受けられること。
生活の質を保つために、医療チームが患者さんとご家族を支えます。
私たちクリニックC4は『がんをあきらめない』