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舌(ぜつ)がんは、「口腔(こうくう)がん」の一種です。
口腔がんとは、口の中にできるがんの総称で、以下のような種類が含まれています。
・舌がん
・歯肉がん(歯ぐき)
・頬粘膜がん(頬の内側)
・口腔底がん(舌の下の部分)
・硬口蓋がん(上あご)
・口唇がん(くちびる)
本記事では、舌がんを含む口腔・咽頭がんの生存率を取り上げます。
まずは「生存率」というキーワードを理解しましょう。
「生存率」という言葉を目にすると、不安を感じるかもしれません。
しかし、この数字は「未来を決めるもの」ではなく、病気の経過や治療の効果を知るための指標です。
まずは、生存率の基本について整理しましょう。
生存率とは、ある病気と診断された人が特定の期間(5年・10年など)生存している割合を示す数値です。
特に、がんでは「5年生存率」がよく使われ、診断から5年後に生存している人の割合を指します。
【生存率の見方】
・5年生存率80% → 診断された100人のうち、5年後に生存していたのが80人
・10年生存率70% → 診断された100人のうち、10年後に生存していたのが70人
覚えておいていただきたいのは、この数字はあくまでも過去のデータに基づく統計だということ。
患者さんの未来を決定づけるものではありません。
生存率は、その計算方法によって意味合いが異なります。
代表的な3つの生存率を紹介します。
がんと診断された人のうち、一定期間生存している人の割合を単純に示した数値です。
この生存率の特徴としては「がん以外の原因で亡くなった人」も含まれるため、がんの影響だけを示す数値ではありません。
【例】
5年実測生存率が70%
→ 100人中70人が5年後に生存(ただし、死亡の原因は問わない)
がんと診断された人の生存率を、同じ年齢層の健康な人の生存率と比較した割合です。
先述した実測生存率よりも、がんがどれだけ生存率に影響を与えているのかがわかります。
なお、近年ではより正確な指標として、次の「ネット・サバイバル」が用いられています。
【例】
がん患者の5年生存率が80%、ある年齢層の健康な人の5年生存率が95%
→ 5年相対生存率は約84%
がん以外の死亡要因を除いた生存率です。
この数値には、交通事故やほかの病気が原因で亡くなったケースが入りません。
「がんそのものが生存にどれほど影響を与えたか」を測定するために使われます。
【例】
5年ネット・サバイバルが60%
→ 100人中60人が5年後に生存(がん以外の死因は含まない)
繰り返しになりますが、生存率とは、あくまでも統計的なデータに基づく「傾向」です。
がんと診断された一人ひとりに、必ずしも当てはまるものではありません。
それでは何のためにあるかというと、治療の効果を客観的に知るためです。
生存率はがん治療のための非常に重要な指標として、医療に役立てられているのです。
ここでは、舌がん関連の生存率について取り上げます。
※舌がん単体での生存率ではなく、「口腔・咽頭がん」としての生存率となります。
全ステージを合わせた5年生存率は、ネット・サバイバルで91.8%(実測生存率88.3%)となっています。
ステージごとの5年生存率はI期が99%、II期94.7%、III期81.1%、IV期が40.5%と進行するにつれ低下します。
がんの進行度 | 5年相対生存率 |
---|---|
限局 | 86.6% |
領域 | 53.5% |
遠隔 | 13.9% |
口腔・咽頭がんの進行度(限局・領域・遠隔)に分けた5年相対生存率は上記のとおりです。
限局の5年相対生存率は86.6%と、約9割の人が治療後5年生存できることを意味します。
つまり、早期発見・早期治療ができれば、口腔・咽頭がんは比較的予後が良いと言えるでしょう。
がんの進行度が「領域」になると、生存率は53.5%、「遠隔」転移があると、生存率は10%台にまで低下。
がんがリンパ節に転移したり、隣接臓器に広がってしまうと、治療が難しくなることがわかります。
※限局:がんが原発臓器に限局しているもの(浸潤や転移がない状態)
※領域:以下2種類を含む
・所属リンパ節転移(原発臓器の所属リンパ節への転移を伴うが、隣接臓器への浸潤がないもの)
・隣接臓器浸潤(隣接する臓器に直接浸潤しているが、遠隔転移がないもの)
※遠隔:遠隔転移したがん(遠隔臓器、遠隔リンパ節などに転移・浸潤があるもの)
全ステージを合わせた10年生存率は、ネット・サバイバルで82.9%(実測生存率77.8%)となっています。
ステージごとの10年生存率は、I期94.1%、II期86.6%、III期62.7%、IV期が16.9%。
5年生存率と同様に、進行度が上がるにつれて生存率が低下する傾向を示しています。
年 | 5年相対生存率(男性) | 5年相対生存率(女性) |
---|---|---|
0年サバイバー | 49.7% | 60% |
1年サバイバー | 60.4% | 71% |
2年サバイバー | 72.4% | 82.2% |
3年サバイバー | 78.8% | 85.6% |
4年サバイバー | 81.6% | 88.4% |
5年サバイバー | 83.3% | 89.3% |
がんと診断されたばかりの人(0年サバイバー)の5年相対生存率は、男性で49.7%、女性で60%。
しかし、そこから1年生存すると、それぞれ60.4%と71%に上昇。
さらに2年生存できれば72.4%、82.2%、5年生存では83.3%、89.3%と徐々に上がっています。
つまり、「最初の数年を乗り越えることが、その後の生存にとって非常に大きな意味を持つ」ということが見えてきます。
※サバイバー生存率とは?
診断されてから〇年生き延びた人が、そこからさらに5年生きられる確率を示したもの。
(例)
1年サバイバーの5年生存率とは?
「診断から1年後に生きている人」が、そこからさらに5年後(つまり診断から合計6年後)に生きている確率。
舌がんを含む、口腔・咽頭がんの罹患数や年齢層など、その他の統計について取り上げます。
「罹患(りかん)」とは、特定の病気にかかることを意味します。
全国がん登録罹患データ(2020年)を見ていきましょう。
●部位別がん罹患数(男性)
部位 | 罹患数 |
---|---|
前立腺 | 87,756 |
大腸 | 82,809 |
肺 | 81,080 |
胃 | 75,128 |
結腸 | 51,733 |
直腸 | 31,076 |
肝臓 | 23,707 |
膵臓 | 22,557 |
食道 | 20,128 |
腎・尿路(膀胱除く) | 19,660 |
悪性リンパ腫 | 19,246 |
膀胱 | 17,424 |
口腔・咽頭 | 15,490 |
胆のう・胆管 | 11,705 |
皮膚 | 12,418 |
白血病 | 8,384 |
甲状腺 | 4,509 |
喉頭 | 4,205 |
多発性骨髄腫 | 3,920 |
脳・中枢神経系 | 3,077 |
乳房 | 622 |
●部位別がん罹患数(女性)
部位 | 罹患数 |
---|---|
乳房 | 91,531 |
大腸 | 64,915 |
結腸 | 46,507 |
肺 | 39,679 |
胃 | 34,551 |
子宮 | 28,492 |
膵臓 | 21,891 |
直腸 | 18,408 |
子宮体部 | 17,779 |
悪性リンパ腫 | 16,751 |
卵巣 | 12,738 |
甲状腺 | 11,918 |
皮膚 | 11,427 |
肝臓 | 11,037 |
子宮頸部 | 10,353 |
胆のう・胆管 | 9,687 |
腎・尿路(膀胱除く) | 9,481 |
口腔・咽頭 | 6,562 |
白血病 | 5,888 |
膀胱 | 5,761 |
食道 | 4,430 |
多発性骨髄腫 | 3,349 |
脳・中枢神経系 | 2,636 |
喉頭 | 408 |
口腔・咽頭がんは男女ともにがん全体の中では少なめな症例数。
なお、口腔がんの中でも日本人に多いのが舌がんで、口腔がん全体の約55%(※)を占めています。
舌がんが含まれる口腔・咽頭がんは、男女ともに罹患のリスクがありますが、どちらかと言えば男性に多く発症するがんです。
データによると、年間で約15,000人の男性が新たに診断されており、これは女性の約2.4倍。
男性がん全体の中でも13番目に多く、決して珍しいがんではありません。
一方、女性の罹患数は約6,500人と、男性と比較すると少ないがんです。
※参照元:国立がん研究センター┃口腔がんの原因・症状について
●男性
年齢層 | 罹患率(人口10万人あたり) |
---|---|
0~24歳 | 1以下 |
25~29歳 | 1.8 |
30~34歳 | 2.4 |
35~39歳 | 3.6 |
40~44歳 | 6.2 |
45~49歳 | 10.7 |
50~54歳 | 18.1 |
55~59歳 | 29.0 |
60~64歳 | 45.0 |
65~69歳 | 59.5 |
70~74歳 | 71.8 |
75~79歳 | 78.7 |
80~84歳 | 70.4 |
85~89歳 | 65.9 |
90~94歳 | 57.5 |
95~99歳 | 62.1 |
100歳以上 | 50.8 |
●女性
年齢層 | 罹患率(人口10万人あたり) |
---|---|
0~24歳 | 1以下 |
25~29歳 | 1.3 |
30~34歳 | 2.2 |
35~39歳 | 3.0 |
40~44歳 | 4.6 |
45~49歳 | 6.5 |
50~54歳 | 7.7 |
55~59歳 | 9.9 |
60~64歳 | 12.2 |
65~69歳 | 14.9 |
70~74歳 | 17.6 |
75~79歳 | 21.7 |
80~84歳 | 25.6 |
85~89歳 | 31.6 |
90~94歳 | 35.8 |
95~99歳 | 46.9 |
100歳以上 | 29.8 |
※単位:例
口腔・咽頭がんは、年齢が上がるほど罹患率が上昇するがんです。
特に男性では、50代以降から一気にリスクが高まり、60代で45、70代では70を超える数値となっています。
これは女性の同年代と比べても、2〜3倍以上の差があり、罹患数と同様、性別による違いもあることが読み取れます。
生存率には「実測生存率」「相対生存率」「ネット・サバイバル(純生存率)」の3種類があり、それぞれ異なる意味を持っています。
口腔・咽頭がんの5年相対生存率は、進行度に分けて限局 が86.6%、領域が53.5%、遠隔が13.9%です。
0年~5年のサバイバー5年相対生存では、1年生存するごとに生存率も上昇。
5年生存した場合では男性83.3%、女性89.3%となっています。
生存率はあくまでもデータであり、一人ひとりの治療経過や体の状態によって異なるため、この数字だけで未来が決まるわけではありません。
生存率は、治療の効果を測定する指標として医療に役立てられています。
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