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悪性リンパ腫の末期症状-ステージ4との違いや緩和ケアについて

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悪性リンパ腫の末期症状とは

国立がん研究センターの統計によると、2023年に悪性リンパ腫と診断された人は37,601例(男性20,073例、女性17,528例)にのぼります。人口10万人あたりの罹患率は30.2と、血液のがんの中では比較的多くの方が経験する病気です(※1)。

一方で、悪性リンパ腫はがん化したリンパ球の種類によって細かく分類されており、その数は数十種類にも及びます。種類ごとに進行のスピードや末期に現れる症状が異なるため、「末期」と告げられても具体的なイメージが持てず、孤独や不安を感じる方も少なくないでしょう。

本記事では、悪性リンパ腫の種類ごとに末期症状を解説しているほか、ステージ4と末期の違い、主な治療法や苦痛を和らげる緩和ケアなどについて詳しく解説しています。

※1参照元:国立がん研究センター

種類別(組織型)に見る悪性リンパ腫の末期症状

悪性リンパ腫の種類は大きく、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分けられます。非ホジキンリンパ腫には、DLBCL、濾胞性リンパ腫、ATLなどがあります。

ここでは、日本人の悪性リンパ腫患者の9割以上を占めている(※2)と言われている非ホジキンリンパ腫から順に、進行期~末期に見られる主な症状を解説しています。

※2参照元:国立がん研究センター 更新日 : 2025年4月11日

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)

Bリンパ球ががん化して発症する悪性リンパ腫で、月単位で進行するアグレッシブリンパ腫に分類されます。リンパ節以外の臓器(節外病変)にも生じやすく、特に胃に多いとされています。

進行期~末期に見られる主な症状

  1. 急速に増大する腫瘤による圧迫症状:DLBCLは進行が速く、腫瘤が短期間で大きくなることがあります。尿管、血管、脊髄などが圧迫されると、水腎症、むくみ、麻痺などが現れる場合があります。
  2. 骨髄浸潤による血球減少:骨髄に病変が広がると正常な血液細胞が作られにくくなり、貧血や出血しやすさ、感染症へのかかりやすさが進みます。
  3. 中枢神経への浸潤:脳や脊髄に病変が及ぶと、頭痛や意識障害、麻痺といった神経症状が現れることがあります。

濾胞性リンパ腫

リンパ節の中にある「リンパ濾胞」に由来するB細胞リンパ腫で、年単位でゆっくりと進行するインドレント(低悪性度)リンパ腫の代表的な病型です。診断時にはすでに臨床病期Ⅲ・Ⅳの進行期である患者が70~85%を占める(※3)とされています。

進行期~末期に見られる主な症状

  1. 形質転換による病状の変化:ゆるやかな経過をたどっていた病状が、より進行の速いタイプへ変化することがあります。年間2%程度(※4)の割合でびまん性大細胞型B細胞リンパ腫のような悪性度の高いタイプへ「形質転換」します。
  2. 骨髄浸潤の進行:濾胞性リンパ腫では骨髄への浸潤がみられることもあり、進行すると血液検査で異常が見つかる場合があります。
  3. 広範囲のリンパ節腫大による圧迫症状:濾胞性リンパ腫はゆっくり進行することが多い一方で、病変が広範囲に及ぶ場合があります。進行に伴ってリンパ節腫大が大きくなると、尿管や脊髄などを圧迫し、腎機能障害や麻痺につながることがあります。

※3・※4参照元:日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン

成人T細胞性白血病リンパ腫(ATL)

HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)の感染を背景にT細胞ががん化する病気です。病型は急性型・リンパ腫型・慢性型・くすぶり型に分かれ、進行の速さが大きく異なります。

進行期~末期に見られる主な症状

  1. 高カルシウム血症:2009年発行の文献では高カルシウム血症がATL患者の約80%(※5)に認められると報告されています。高カルシウム血症は、全身の倦怠感や便秘、意識障害などの原因になることがあります。
  2. 日和見感染症:T細胞の働きが低下して免疫力が落ちることで、ニューモシスチス肺炎やサイトメガロウイルス感染症などの感染症にかかりやすくなります。
  3. 多臓器への浸潤:肺や肝臓、消化管、中枢神経などに病変が広がると、咳や黄疸、意識障害など、臓器に応じた症状が現れます。

※5参照元:医書.jp「検査と技術 37巻5号 (2009年5月発行)」

ホジキンリンパ腫

首や鎖骨周辺のリンパ節からHRS細胞(Hodgkin/Reed-Sternberg細胞)という特徴的な細胞が増殖する血液のがんです。日本における悪性リンパ腫全体の約5%(※6)を占め、比較的まれなタイプといえます。

進行期~末期に見られる主な症状

  1. 上大静脈症候群・気道の圧迫:胸の中央(縦隔)にあるリンパ節が腫大すると、心臓に血液を戻す太い血管が圧迫され、顔や首のむくみと息切れが生じる上大静脈症候群を起こすことがあります。気管・気管支まで圧迫されると、激しい呼吸困難や喘鳴が現れることもあります。
  2. 神経の圧迫による麻痺:病変が脊髄の外側まで広がると下半身の麻痺(対麻痺)が、頸部の神経を圧迫するとまぶたが下がるホルネル症候群や声のかすれが生じる場合があります。
  3. B症状の悪化と悪液質:発熱・体重減少・寝汗といった「B症状」が進行とともに強まり、食欲低下や体重減少などにより、体力の低下が目立つことがあります。

※6参照元:国立がん研究センター がん情報サービス|更新・確認日:2023年12月06日

悪性リンパ腫における「末期」と「ステージ4」の定義

がんにおける「末期」の捉え方

「末期」という言葉に、医学的に厳密な一律の定義はありません。一般的には、がんの根治を目指す治療が難しくなり、症状の緩和やQOL(生活の質)の維持を重視する段階を指します。治療の見通しや患者さんの体力、症状などを総合的に考慮して判断されるため、同じステージであっても、末期と判断されるケースもあれば、そうでないケースもあります。

ステージ4(Ⅳ期)とは

リンパ節以外の臓器に病変が広がっている状態を指します。悪性リンパ腫の病期は、「アン・アーバー分類」や、その修正版である「Lugano分類」によって判定されます。

また、悪性リンパ腫は血液やリンパ系の細胞から生じるため、固形がんの転移とは病気の広がり方が異なります。厚生労働省の資料では、初回診断時点で「遠隔転移」と分類される症例が45.8%(※7)と報告されており、診断時点で病変が広範囲に及んでいるケースも少なくありません。

一方で、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫のように、ステージ4であっても薬物療法による治癒が期待できる病型もあります。

※7参照元:厚生労働省「令和5年 全国がん登録 罹患数・率 報告」【PDF】

悪性リンパ腫の状況に応じて検討される治療選択肢

病状が進んだ段階でも、治療の目的は患者さんの状態によって異なります。具体的な治療は組織型や病期、患者の全身状態、HTLV-1感染の有無などを踏まえ、医師と相談しながら決定してください。ここでは組織型ごとの一般的な治療方針を紹介します。

  1. ホジキンリンパ腫:限局期(Ⅰ・Ⅱ期)は化学療法と放射線治療を併用し、進行期(Ⅲ・Ⅳ期)では化学療法が中心となりますが、現在は初発から免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブなど)を併用する治療法も確立されています。再発・治療抵抗性の場合は、CD30を標的とした抗体薬物複合体(ブレンタキシマブ ベドチン)などが選択肢となります。
  2. びまん性大細胞型B細胞リンパ腫:従来の標準治療であるR-CHOP療法に加え、現在はリスク等に応じて抗体薬物複合体を加えた「Pola-R-CHP療法」なども初発時からの重要な標準治療となっています。再発・難治例には、CAR-T細胞療法や二重特異性抗体による治療が検討されます。
  3. 濾胞性リンパ腫:進行が緩やかなため、Watchful Waiting(経過観察療法)が選択されることもあります。治療が必要な場合は、リツキシマブを含む化学療法やレナリドミド併用療法(R2療法)などが用いられます。
  4. 成人T細胞性白血病リンパ腫(ATL):アグレッシブ型には多剤併用化学療法(mLSG15療法など)が行われ、効果があれば同種造血幹細胞移植が検討されます。薬物療法としては抗CCR4抗体(モガムリズマブ)のほか、最新の分子標的薬である経口EZH1/2阻害薬(バレメトスタット)も重要な選択肢となっています。

※適応は症例によるため、必ずしも上記の治療を行うわけではありません。

検査結果や状況に応じて取られるアプローチ

バイオマーカーに応じた分子標的薬

がん細胞表面の特定のタンパク質を調べることで、より効果が見込める薬剤を選択できます。例えばホジキンリンパ腫ではCD30陽性の症例に抗体薬物複合体が、ATLではCCR4陽性の症例にモガムリズマブが用いられます。

緩和的放射線治療

悪性リンパ腫は、すべての悪性腫瘍の中でも放射線感受性が極めて高い(非常に放射線が効きやすい)という大きな特徴を持っています。そのため、大きな腫瘤による気道・血管の圧迫症状や骨の痛みを和らげる目的において、非常に強力な選択肢となります。 固形がんに比べて極めて少ない放射線量(短い治療期間・少ない照射回数)で劇的な腫瘍縮小・除痛効果が得られるため、周辺組織へのダメージや副作用が抑えられ、体力が低下している進行期・末期の患者さんでも体に大きな負担をかけることなく、迅速に苦痛を取り除くことができます。

悪性リンパ腫患者の心と体を支える「緩和ケア」

緩和ケアは末期患者だけの医療ではなく、診断時から受けられるサポートです。悪性リンパ腫は組織型が非常に多岐にわたるため、自分の病型に関する情報を見つけにくいと感じる患者やご家族も少なくありません。不安やつらさを和らげる目的で、緩和ケアを早期から取り入れると良いでしょう。

緩和ケアが受けられる場所

  1. 緩和ケア病棟(ホスピス)
  2. 在宅療養(訪問診療・訪問看護)
  3. 外来・一般病棟など

まとめ

悪性リンパ腫は組織型によって進行のスピードや末期症状が大きく異なる病気です。しかし、現代の医療には組織型に応じた治療の選択肢があり、苦痛を和らげる緩和ケアの技術も確立されています。

緩和ケアは、治療をやめることだけを意味するものではありません。その人らしく、できるだけ穏やかに過ごす時間を支えるための医療です。一人で、あるいはご家族だけで抱え込まず、主治医やがん相談支援センター、緩和ケアチームを頼り、今の不安や希望を言葉にして伝えられる範囲で相談してみてください。

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