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肺がんの末期症状-ステージ4との違いや緩和ケアについて

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肺がんの末期症状とは

厚生労働省が公表している「2023年度 全国がん登録」の報告によると、肺がんの年間罹患数は123,989人。全部位の罹患数順位(上皮内がんを除く)では、男性が4位、女性が3位となっているほど身近な疾患の一つです。

「肺がん末期」と説明を受け、これからどんな症状が出るのか、どこまで治療が可能なのか、一人で不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、肺がんの種類ごとに末期症状を解説しているほか、ステージ4と末期の違い、主な治療法や苦痛を和らげる緩和ケアなどについて詳しく解説しています。

参照元:厚生労働省「2023年 全国がん登録 罹患数・率 報告」【PDF】

種類別(組織型)に見る肺がんの末期症状

肺がんは大きく「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」に分類されます。非小細胞肺がんは、さらに「腺がん」と「扁平上皮がん」に分けられます。

腫瘍ができる部位や、増殖のスピード(組織型)によって、がんの進行スピード・転移のしやすさ・現れやすい末期症状が異なるため、詳しく見ていきましょう。

参照元:がん情報サービス

主な末期症状

  1. 急速な全身衰弱: 短期間のうちに腫瘍が巨大化・拡散するため、急激な体重減少や、起き上がれなくなるほどの倦怠感が進みます。
  2. 多臓器不全: 肝臓、脳、骨髄など広範囲に転移が広がり、それぞれの臓器が機能しなくなった場合、黄疸や意識混濁などの症状が重なります。
  3. 腫瘍随伴症候群: がん細胞がホルモンに似た物質を出すことで様々な症状が生じることがあります。一例として血液中のナトリウム値が異常に低下(低ナトリウム血症)し、ふらつきや意識障害を起こすケースなどがあげられます。

腺がん(非小細胞肺がん)

肺がんの中で最も多く、肺の末梢(外側)に発生しやすい特徴があります。比較的初期症状が出にくく、発見時には進行しているケースも少なくありません。

参照元:がん情報サービス

主な末期症状

  1. 胸水貯留による呼吸困難: 肺を包む胸膜にがんが広がり、大量の胸水が溜まると肺が圧迫され、激しい息切れや呼吸苦が生じます。
  2. 骨転移による痛み: 腺がんは骨に転移しやすく、背骨や腰、骨盤などの激痛、あるいは病的な骨折による歩行困難を伴うことがあります。
  3. 脳転移による神経症状: 脳に転移(脳転移)すると、激しい頭痛や吐き気、麻痺、意識障害などが現れる場合があります。

扁平上皮がん(非小細胞肺がん)

肺の末梢ではなく、気道を覆う細胞ががん化したものです。肺の中央部(太い気管支)に発生しやすく、喫煙との関連が非常に強いとされています。

参照元:National Library of Medicine

主な末期症状

  1. 激しい咳と血痰: 気管支の粘膜を刺激したり血管を破壊したりするため、止まらない咳や、喀血(血を吐くこと)による窒息のリスクが生じます。
  2. 閉塞性肺炎: 気管支が腫瘍で塞がれ、その先の肺に炎症が起きる状態です。進行に伴って発症頻度が高まり、肺炎を繰り返して著しく体力が低下したり、呼吸不全になったりする場合があります。
  3. 上大静脈症候群: 胸部の大きな血管が圧迫され、顔や首がひどく腫れ上がったり、頭重感が生じたりするケースがあります。

肺がんにおける「末期」と「ステージ4」の定義

「末期」という言葉は、医学的に厳密に定められた一律の定義は存在しません。一般的にはがんの根治(完全に治し切ること)を目指す治療が難しくなった段階を指します。

がんにおける「末期」の捉え方

「末期」とは、単にがんの広がり(ステージ)だけでなく、これ以上の抗がん剤治療に耐えられる体力が残っているか、治療によるメリットがデメリットを下回っていないかなど、総合的な見地から用いられる言葉です。

具体的には、延命よりも「残された時間をいかに苦痛なく過ごすか(QOL:生活の質)」を最優先する段階を指します。

ステージ4(Ⅳ期)とは

がんが肺から離れた臓器(骨、脳、肝臓、副腎など)や、反対側の肺、あるいは胸水の中に転移している状態を指す医学的分類です。

2014年から2015年にかけて診断されたステージ4患者の5年生存率は、小細胞肺がんで約2.0%、非小細胞肺がんで約8.4%、肺がん全体で7.4%でした。

近年は薬物療法の進歩により、ステージ4であっても数年にわたり自分らしい生活を維持できるケースが増えています。

参照元:院内がん登録生存率集計結果閲覧システム|小細胞肺がん5年生存率

参照元:院内がん登録生存率集計結果閲覧システム|非小細胞肺がん5年生存率

参照元:院内がん登録生存率集計結果閲覧システム 肺がん(全体)5年生存率

種類別(組織型)に見る肺がんの治療方針

末期の段階では、がんの根治よりも、呼吸の苦しさや痛みを取り除き、穏やかに過ごすための「緩和的治療」が主軸となります。

具体的な治療方法は、がんの種類(組織型)に加え、患者さんの日常生活がどの程度自立しているか、肝臓・腎臓で抗がん剤を代謝できるかなどを考慮したうえで決定するのが一般的です。

小細胞肺がん

全身状態が比較的保たれている場合は、腫瘍を縮小させて気道の圧迫などを取るために、プラチナ製剤などを用いた薬物療法を行うことがあります。ただし、体への負担を考慮し、積極的な治療よりも苦痛緩和を最優先する場合もあります。

腺がん(非小細胞肺がん)

特定の遺伝子変異(EGFR、ALK、ROS1、RETなど)を標的とした分子標的薬治療を行うのが一般的です。末期に近い状態でも、長期間病状をコントロールできる可能性があります。

扁平上皮がん(非小細胞肺がん)

体力や臓器機能が保たれている場合は、免疫チェックポイント阻害薬(キイトルーダ、オプジーボなど)と抗がん剤を組み合わせた治療が検討されます。腫瘍が気管支を塞いでいる場合は、気道ステント留置術などの処置を行い、呼吸の苦しさを緩和します。

検査結果や状況に応じて取られるアプローチ

緩和的放射線治療

「放射線治療=がんを治すためのもの」というイメージが強いですが、末期においては「痛みの蛇口を閉める」「空気の通り道を確保する」ための手段として用いられます。

骨転移の痛みや脳転移による頭痛や吐き気、麻痺などの神経症状を抑えることが可能です。腫瘍が気管を押しつぶして呼吸が苦しい場合、放射線で腫瘍を少し縮小させ、空気の通り道を広げて窒息感を取り除きます。

呼吸困難への対症療法

酸素療法や、医療用麻薬(モルヒネ等)の微量使用によって脳の呼吸中枢の過敏さを抑え、呼吸を楽にする処置が行われます。また、胸水が溜まっている場合は、管を通して排出する「胸腔ドレナージ」が行われることもあります。

※適応は症例毎に決められるため、必ずしも上記の治療を行うわけではありません。

肺がん患者の心と体を支える「緩和ケア」

緩和ケアは、積極的な治療ができなくなってから始まるものではありません。特に肺がんは「呼吸」という生命維持に直結する部位の疾患であるため、息苦しさによる精神的な恐怖心も強まりやすい傾向にあります。早期から緩和ケアチームと関われば、身体的な痛みだけでなく、精神的なケアも同時に受けることが可能です。

緩和ケアが受けられる場所

  1. 緩和ケア病棟(ホスピス)
  2. 在宅療養(訪問診療・訪問看護)
  3. 外来・一般病棟

まとめ

肺がんの種類や進行の仕方によって現れる末期症状は異なり、その一つひとつが、今後の治療やケアの選択を考えるための重要なサインになります。

延命を最優先するのか、苦痛を和らげながら生活の質を保つことを重視するのか、その判断は病状だけでなく、患者さんの体力や価値観によっても変わるものです。末期症状に関する知識は、「これからどう過ごすか」を主体的に考えるための土台だと捉えてみてください。

患者さん本人の思いを中心に、主治医や医療スタッフ、家族と話し合いながら、その人らしい過ごし方を選んでいくことが、肺がんの末期症状と向き合ううえで何より大切です。

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