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当院のがん治療

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当院の治療実績

分子標的照射

分子標的照射はがん細胞の持つ転写系の異常とがん幹細胞性に着目し、これらに特異的に働きかけることで選択的にがん細胞の放射線耐性を下げる新しい放射線治療です。この治療で放射線増感剤として用いられるエピジェネティクス系の薬剤及びがん幹細胞の表面マーカーに特異性のある薬剤は近年の腫瘍分子生物学に基づいたものです。

重粒子線治療や酸素を補充する増感剤など放射線の治療効果を高める従来の方法は物理的、化学的に放射線の殺細胞効果を高めるため、がんだけでなく放射線による正常細胞へのダメージも増やしてしまいますが、分子標的照射では分子機構のレベルでがん細胞を特徴付けている部分にのみ働きかけて放射線増感作用を発揮する薬剤を用いるため広い応用範囲を持つのが特徴です。

次のようながん細胞の分子機構を特異的に修飾する薬剤があります。転写系の異常についてはDNAメチル化阻害剤、ヒストン脱アセチル化阻害剤、幹細胞性についてはCD44VおよびCD133表面マーカー系阻害剤(これらはいずれもHIF1下流のNFκBを阻害することがわかっています)が有効です。これらの薬剤は正常組織への影響がほとんどないこともわかっています。

3年前からこれら分子機構修飾剤を癌組織に直接投与(CTガイド下)し、トモセラピーによる多発病変IGIMRTを実施してきました。その結果、投与線量を1/2.5に軽減しても75-80%の局所制御を達成しています。

*分子標的照射は通常のトモセラピー治療に薬剤を併用して投与いたします。治療スケジュール、費用などについては直接お問い合わせ下さい。

放射線増感(重粒子線治療・放射線増感剤)

リニアックのX線や電子線を用いた放射線治療は、大きく育ったがんや悪性黒色腫、種々の肉腫などがんの種類によっては効きにくいことがあります。X線や電子線ががん細胞に与える効果の内、放射線が直接がん細胞のDNAなど生体高分子に障害を与える直接作用は1/3で残りの2/3は周囲の水分子との化学反応で生まれたフリーラジカルによる間接作用になります。放射線に抵抗力のあるがんの多くは内部の酸素が欠乏しており間接作用に必要なフリーラジカルを保てないことがその原因となっています。これらに対処するために重粒子線治療や放射線増感剤(Radiosensitizer)が用いられています。重粒子線はがん細胞のDNAに与える直接作用が非常に強いため酸素の有無によらず治療効果が得られます。一方で放射線増感剤は通常の放射線治療と併用することでがん細胞の放射線に対する感受性を上げます。現行の一般的な放射線増感剤はがん内部に不足している活性酸素を補い間接作用による治療効果を十全に発揮させます。このタイプの放射線増感剤には過酸化水素などが用いられます。

がんの分子生物学

近年の分子生物学の研究成果からがん細胞の特定のタンパク異常と幹細胞性が放射線による治療を妨げる要因になっていることが判ってきました。一般にタンパクの異常はその原因遺伝子に異常があるからと考えられてきましたが、最近では遺伝子そのものに異常がなくてもタンパクを作る過程(転写)に問題がある場合には異常なタンパクが生じると考えられています。特に癌抑制遺伝子タンパクの異常が存在する場合、放射線被曝で生じた細胞内環境の変化に反応して細胞を自滅に追い込む(アポトーシス)機構が作動できず、癌細胞が生き残ってしまうことが考えられます。また、幹細胞性をもった癌細胞は放射線や抗がん剤によって与えられた障害を軽減し生残する働きをするだけでなく、新たな転移の源となることがわかっています。

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