メールで相談
03-6407-9407電話対応時間:9:00〜17:30

日本人男性にとって身近ながんのひとつである、前立腺がん。
本記事では、ステージ4の前立腺がんについて、基礎的な知識からステージの定義、生存率、治療方法や合併症への対処方法などを取り上げます。

前立腺がんの基礎知識

前立腺とは

前立腺(ぜんりつせん)は、男性だけが持っている、膀胱のすぐ下にある臓器です。
クルミのような形をしていて、尿道を取り囲むように存在しています。
役割は、精液の一部である「前立腺液」をつくること。前立腺液には、精子を保護し、精子の運動機能を活発にする働きがあります。
このように、前立腺は尿や排尿の経路にも関係しつつ、生殖にも関わる器官という位置づけです。

前立腺がんとは

前立腺がんは、その名のとおり前立腺にできる悪性腫瘍(がん)を指します。
つまり、前立腺の細胞が何らかの理由で異常に増殖して、制御不能になる病気です。
男性特有のがんで、とくに中高年以降の年代で多く見られます。
前立腺がんの特徴としては、進行は比較的ゆっくりなものが多いことです。
早期に発見することで、治療の選択肢が増えます。

前立腺がんの症状

前立腺がんは、尿の出にくさや、頻尿といった症状が出ることがあるものの、早期では自覚症状が出にくいがんです。
進行してくると、排尿に関する症状以外にも血尿や排尿時の痛みなどが現れます。
また、骨への転移があると腰や背中に痛みが出ることもあります。
なお、これらの症状は「前立腺肥大症」という別の病気の症状として現れることもあります。前立腺肥大症の治療中に前立腺がんが発見されることもあり、関連が深い病気です。

ステージ4前立腺がんの定義

・初めに発生した「原発がん」の広がりの程度
・所属リンパ節(骨盤内のリンパ節)への転移の有無
・遠隔転移の有無
前立腺がんのステージ4は、上記の要素によって決められます(※TNM分類)。
具体的には、がんが直腸や骨盤壁など隣接する臓器へ直接浸潤している場合、骨盤内のリンパ節への転移がある場合、あるいは、遠くの臓器や骨へ遠隔転移している場合に分類されます。

ステージ4前立腺がんの生存率

生存率とは、ある病気と診断された人が、5年や10年といった特定の期間を生きて過ごしている割合です。
がんにおいては「5年生存率」がよく使われ、診断から5年後にどれくらいの人が生存しているかを表します。
前立腺がんのステージ4における生存率は、以下のような数値になっています。
■実測生存率:51.1%
■ネット・サバイバル:60.1%
※実測生存率:がんと診断された人のうち、一定期間生存している人の割合(がん以外の死亡も含む)
※ネット・サバイバル:がん以外の死亡要因を除いた生存割合
※診断年と生存率:2014-2015年5年生存率
※出典:国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」(https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2014-2015&elapsed=5&type=c12#h-title)

生存率の計算方法について、より詳しく知りたい方は下記ページ内に「生存率とは?」や「生存率の種類」についてまとめていますので、参考にしてください。

生存率の計算方法は?そもそも「生存率」とは?
https://cccc-sc.jp/cancer/oral-cancer-rate.html

ステージ4前立腺がんの治療

リンパ節や遠隔転移を伴うステージ4では、薬物療法が中心に行われます。
従来は男性ホルモンを抑える「内分泌療法(去勢療法)」から開始し、効かなくなった段階(去勢抵抗性前立腺がん)で他の薬に変更していましたが、現在では初診時のステージ4であっても、初期から内分泌療法に「新規アンドロゲン受容体シグナル阻害薬(ARSI)」や抗がん薬を併用する治療法が標準となっています。

内分泌療法(ホルモン療法)

「内分泌療法(ホルモン療法)」は、男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌や作用を抑える薬を使って、がんの進行を抑える治療方法です。
手術や放射線治療が難しい場合や、がんが他の臓器へと転移している場合に採用されます。
内分泌療法には、以下のような副作用が生じることもあります。
・のぼせ、ほてり、急な発汗(ホットフラッシュ)
・性機能障害
・乳房の症状(女性化乳房、乳頭の痛み)
・骨密度の低下、骨折リスクの増加
・疲労感
副作用の多くは一過性のものですが、その症状が強すぎる場合には薬の種類を変更したり、治療を中止したりすることがあります。

内分泌療法が効きにくい場合

内分泌療法の効果が現れにくいがんは「去勢抵抗性前立腺がん」と呼ばれます。
ホルモンが十分に抑えられた状態でも、がん細胞がホルモン抑制に耐性を持つようになってしまい、再びがんが進行してしまう状態です。
この場合には、以下の2つが単独、または組み合わせて治療が進められます。
■新規アンドロゲン受容体シグナル阻害薬(ARSI)
男性ホルモン(アンドロゲン)の受容体を阻害して、その伝達を抑制する(がんの「栄養素」を断つ)ことで強い治療効果が期待できる薬です。主に男性ホルモンに依存している前立腺がん細胞をピンポイントで狙えるため、体全体への直接的なダメージは比較的少ないのが特徴です。
■細胞障害性抗がん薬
がん細胞の消滅やできるだけ小さくすることを目的に、がん細胞を直接攻撃する薬です。
がん細胞だけでなく、正常な細胞(髪の毛、口の粘膜、血液を作る細胞など)の分裂も一緒に巻き込んでしまうため、脱毛や吐き気、白血球減少などの副作用が出やすくなるのが特徴です。
病状や転移の状況に応じて、初期からホルモン療法と併用される場合や、治療が進み、既存のホルモン薬に耐性がついた段階(去勢抵抗性前立腺がん)で用いられます。

骨転移を伴う場合

前立腺がんは骨に転移しやすい性質があります。
骨転移に対しては、骨がもろくなって起きる病的な骨折や痛みを予防するために「骨修飾薬(こつしゅうしょくやく:デノスマブやゾレドロン酸など)」が使用されます。

また、骨の痛みを和らげたり、神経圧迫や骨折を防ぐ目的で「放射線外照射療法」が行われます。
さらに、放射線治療には外照射だけでなく、骨転移に集まる放射性物質を注射して体内からがん細胞を照射する「内照射療法(ないしょうしゃりょうほう)」という選択肢もあります。

なお、転移の数が限られている状態(全身に広く散らばる前の段階)では、全身の薬物療法に加えて、前立腺の原発巣や転移巣に対して放射線治療を行うことで、治療成績が向上することが解明されています。

前立腺がんの合併症に対する治療

前立腺がんの手術や放射線治療後に起こりやすい合併症として、尿失禁、性機能障害、鼠径ヘルニアがあります。
それぞれに対して、以下の治療が検討されます。

尿失禁の治療

尿失禁の治療としては、「骨盤底筋体操」が推奨されています。
場合によっては、尿道括約筋の機能を高める薬が処方されることもあります。
尿失禁が改善されない場合は、人工尿道括約筋を埋める手術も検討されます(保険適用)。

性機能障害の治療

性機能障害には、勃起障害や射精障害、性欲減退などがあります。

勃起障害

■精神療法
心理的なストレスを、言葉でのコミュニケーションを通じて和らげる治療です。
パートナーとともに受けるのが望ましいとされています。
■薬物療法
ホスホジエステラーゼ5阻害薬(3種類)を用いて、性的刺激による勃起を促進する治療です。
長期的な「内分泌療法」の後では、性欲低下により効果が低下することがあります。
頭痛やほてりなどの副作用が出ることもありますが、多くは軽く、一過性のものです。
■陰圧式勃起補助具による治療
補助器具による圧をかけることで、疑似的な勃起状態を起こす治療法です。
なかには厚生労働省の認可を受けている器具もありますが、基本的には保険適用の範囲外です。

射精障害

前立腺がんの手術によって精管が切断されると、術後は射精ができません。
将来的に子どもを希望する場合は、事前に精子を採取して人工授精を行ったり、手術後に精巣内から精子を採取して体外受精を行う方法などがあります。

鼠径ヘルニアの治療

前立腺がんの手術によって、鼠径ヘルニアになることがあります。
この鼠径ヘルニアは一度なると自然に治ることはなく、放っておくと腸が嵌まって抜けなくなる「嵌頓(かんとん)」のリスクがあります。
根治のためには手術が必要なため、何か違和感があれば早めに医師に相談することが大切です。

知っておきたい緩和ケアのこと

緩和ケアとは、がんのような生命を脅かす病気に直面している人と、その家族の「生活の質(QOL)」を高めるためのケアです。
緩和ケアの目的は、大きく分けて2つあります。
1つ目は、患者と家族の苦痛を和らげて、できるだけ穏やかに、自分らしく過ごせるように支えること。
2つ目は、QOL(生活の質)を高めること。
これは、身体的な痛みだけでなく、心の不安や家族の悩みまで含めてトータルで支える、という考え方に基づいています。

緩和ケアはいつから受けられるか

緩和ケアは、がんと診断されたらすぐに受けることができます。
以前は「治療が終わったあと」と思われがちでしたが、現代においては「治療と並行して、最初から受ける」のがスタンダード。
診断直後のショックや、初期から感じる身体のつらさに対しても、早い段階でケアを始めることで、苦痛を軽減できるという考え方が広がっています。

緩和ケアの体制

緩和ケアは「チーム医療」で行われています。
中心になるのは主治医や看護師ですが、さらに
・薬の調整を行う薬剤師
・不安に寄り添う心理士やソーシャルワーカー
・家族ケアを担う専門スタッフ
といったように専門職が連携して支える「緩和ケアチーム」が組まれています。
受けられる場所も多様で、病院の外来・入院病棟・緩和ケア病棟(ホスピス)・自宅での訪問ケアなど、本人の希望や状態に合わせて選べるようになっています。
緩和ケアで大切にされているのは、「辛い」「苦しい」という気持ちを我慢しないこと。
患者さんやそのご家族、親しい方の心に寄り添ってケアが行われます。

まとめ

前立腺がんのステージ4は「骨盤内リンパ節への転移のみ」と「より遠くの組織への遠隔転移」の2つに分類され、5年生存率は実測で51.1%、ネット・サバイバルで60.1%というデータがあります。治療においては、ホルモン療法とARSIを基本に、状況に応じて抗がん薬を組み合わせる「薬物療法が中心」です。
また、骨転移に対する痛み・骨折を防ぐための放射線治療や骨修飾薬、治療後の副作用(尿失禁や性機能障害、鼠径ヘルニアなど)へのリハビリ・手術といったサポート体制も整っています。さらに、精神的・身体的な負担を和らげる緩和ケアは診断がついた時点から活用できるため、治療を健やかに継続するためにも「ひとりでつらさを抱え込まないこと」が何より重視されています。

CONTACT

クリニックC4は
末期がんや再発がんはもちろん
「治療方針に迷っている」
「手術以外の選択肢を探している」
という段階からのセカンドオピニオンを広く受け入れています。まずはご相談ください。

診療予約はこちらから
03-6407-9407 予約制
診療時間:9:00〜17:30 休診日:土日・年末年始
セカンドオピニオンはこちらから
PAGE TOP