膀胱がん(ぼうこうがん)は、ご高齢の方を中心に多く見られる病気で、進行すると、以降の治療や生活に大きな影響を与えるがんのひとつです。
がんの広がりが骨盤の外や離れたの臓器にまで及ぶ「ステージ4」の段階では、手術だけでがんを完全に取り除くことが難しいため、全身に作用する薬の治療(薬物療法)や緩和ケアをうまく組み合わせていくことが肝心です。
本記事では、ステージ4の膀胱がんについて、基礎知識からステージの定義、生存率、治療ステップまでわかりやすく解説します。
まずは、膀胱という臓器がどのような働きをしていて、そこにできるがんにどのような特徴があるのかを見ていきましょう。
膀胱は、尿を一時的にためておく袋のような形をした臓器です。下腹部(おへその下あたり)にあり、骨盤のなかにすっぽりとおさまっています。主な役割は以下の2つです。
膀胱の壁は、非常に優れた収縮する筋肉でできており、尿が溜まると風船のように膨らみ、排出するとしぼむ仕組みになっています。
この内側の壁を覆っているのが「尿路上皮(にょうろじょうひ)」という特殊な粘膜であり、膀胱がんのほとんどがこの場所から発生します。
膀胱がんは、がん細胞の性質によっていくつかの種類に分かれます。
※参照元:国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がんについて」
https://ganjoho.jp/public/cancer/bladder/about.html 2026年6月19日時点
膀胱がんのなかでも代表的なサインは、痛みを伴わない血尿(無症候性血尿)です。
尿に血が混じって赤や茶色っぽく見える状態を指します。目で見てはっきりとわかる場合もあれば、健康診断などの顕微鏡検査で初めて見つかるケースもあります。
とくに注意したいのは、この血尿は痛みを伴わないことが多く、「一度出た後にしばらく消え、また忘れた頃に出る」といった、出たり出なかったりを繰り返す性質があるという点です。治ったと勘違いして放置してしまわないよう注意が必要です。
そのほか、頻尿(尿の回数が増える)、排尿するときの痛み、残尿感、突然我慢できないほどの強い尿意に襲われるなど、膀胱炎に似たトラブルが起こることもあります。さらにがんが進行すると、以下のような全身への影響が出始めることがあります。
膀胱がんのステージ(進行度)は、最初にできたがんが膀胱の壁にどこまで深く食い込んでいるか(深達度)、骨盤内のリンパ節に転移があるか、そして遠く離れた別の臓器に転移があるかを総合して判断されます。
ステージ4は、さらに「IVA」と「IVB」の2つの段階に分類されます。
がんが骨盤を飛び越えて広く浸潤しているか、あるいは、遠くのリンパ節にまで達している段階(遠隔臓器への転移はなし)。
がんの大きさや周囲のリンパ節転移の程度に関わらず、遠隔転移(膀胱から遠く離れた臓器への転移)が確認された段階。
血液やリンパ液の流れに乗ってがん細胞が移動することで起こり、膀胱がんの場合は、とくに肺、肝臓、骨などに転移しやすい傾向があります。
生存率とは、がんと診断された患者さんが、一定期間(5年、10年など)の経過のうえでどのくらい健やかに過ごされているかを集計した統計データです。
国立がん研究センターのデータ(2015年診断例)によると、ステージ4の膀胱がんにおける5年生存率は以下の通りです。
参照元:国立がん研究センター がん情報サービス がん統計「院内がん登録生存率集計結果」膀胱がん
※実測生存率:がん以外の原因による死亡も含め、実際に5年後に生存している方の割合
※ネット・サバイバル:他の病気や事故など、がん以外の死因による影響を完全に除外して算出した割合
※診断年と生存率:2015年5年生存率
https://hbcr-survival.ganjoho.jp/search
これらは過去の統計に基づく「ひとつの目安」であり、個々の患者さんの体力や薬の効果、日々の体調によって、実際の経過は異なります。
生存率の計算方法について、より詳しく知りたい方は下記ページ内に「生存率とは?」や「生存率の種類」についてまとめていますので、参考にしてください。
ステージ4の段階では、がんがすでに広範囲に及んでいるため、手術ですべてを取りきることは困難であるケースがほとんどです。
そのため、治療の目的は「がんの進行をできるだけ抑えること」と「身体に出ているつらい症状を和らげること」になり、全身に作用する薬を使った治療(薬物療法)が中心となります。
膀胱がんの薬物療法は、最初の薬の効果を見極めながら、以下のように段階的に治療を切り替えていくアプローチが確立されています。
進行・転移のある膀胱がんと診断されて、多くの場合、最初に使われるのがこの薬です。いわゆる「従来型の抗がん剤」であり、がん細胞が分裂して増殖する仕組みを強力に邪魔して直接攻撃します。通常は、効果を高めるために複数の薬を組み合わせて(併用療法)点滴などで投与します。
ステップ①の抗がん剤で効果が見られなかった場合や、一度効いた後に再発してしまった場合の次の選択肢となるのが、免疫療法の一種である、免疫チェックポイント阻害薬です。
がん細胞は、体内の免疫細胞に対しブレーキをかけることで、免疫細胞の攻撃から逃れ生き延びようとします。この薬はそのブレーキを解除させ、患者さん自身が本来持っている免疫の力を再び活発にしてがんと闘わせる仕組みを持っています。
ステップ②の免疫チェックポイント阻害薬でも効果が得られなくなった場合、新鋭の治療薬である「抗体薬物複合体(ADC)」というタイプの薬が検討されます。
これは、抗体(がん細胞の目印である抗原を狙うタンパク質)と抗がん剤(細胞が分裂する仕組みそのものを阻害・破壊する薬)をひとつに合体させた特殊な薬です。
体内の正常な細胞へのダメージを防ぎつつ、がん細胞だけを狙い撃ちにして直接ダメージを届けることができる画期的な仕組みを持っています。
※抗体薬物複合体(ADC)は分子標的薬の一種です。
薬物療法を続けるうえで副作用は避けられない部分もありますが、副作用が強く出たからといって、すぐに治療を諦めなければならないというわけではありません。
現在は副作用を和らげるための薬が充実しているほか、症状に応じて薬の量を減らしたり、スケジュールを調整したりしながら、無理のない範囲で治療を継続することが可能です。気になる症状があれば「これくらいは我慢しよう」と思わず、すぐに医師や看護師に相談するのが鉄則です。
緩和ケアとは、がんに直面している患者さんとそのご家族が抱える、身体や心のさまざまなつらさを和らげ、自分らしく穏やかな生活(生活の質=QOL)を維持するための大切な医療ケアです。
ステージ4の膀胱がんは、がんの広がりや骨盤外のリンパ節転移がみられる段階(IVA)と、肺や肝臓、骨といった離れた臓器に遠隔転移している段階(IVB)に分類されます。統計による5年生存率は実測で約16.7%と、進行がん特有のシビアな数字ではありますが、これらはあくまでひとつの目安であり、個々の状態に応じた正確なステージ判定を行うことが適切な治療方針を決めるうえでの重要な要素となります。
また、実際の治療においては、まず複数の薬剤を組み合わせた細胞障害性抗がん薬からスタートし、病状の変化に応じて免疫チェックポイント阻害薬、さらには、がん細胞を狙い撃ちにする抗体薬物複合体へと、段階的かつ組織的に治療を切り替えていきます。
これらの治療に伴う副作用や病気による痛み、精神的な不安に対しては、がんと診断された直後から治療と並行して受けられる緩和ケアが用意されており、さまざまな専門家がチームとなって生活の質(QOL)の維持をサポートしてくれます。
ひとりで苦痛や悩みを抱え込むことなく、主治医や医療スタッフと十分にコミュニケーションを重ねながら、ご自身にとって納得のいく道を歩んでいきましょう。
クリニックC4は
末期がんや再発がんはもちろん
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「手術以外の選択肢を探している」
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